リング0 −バースデイ−
平成日本映画界が産んだ最高のキャラクター貞子の青春時代を描くリングシリーズ第三弾!!なのですが、昭和日本映画界が産んだ最高のキャラクターゴジラと同じく、とてつもない恐怖の根源から、善良なキャラクターに設定変更がなされてしまいました。東宝の悪い癖だ。これって、貞子を退治しちゃったリング2よりもひどい冒涜ですぞ。
映画の装いはシックスセンスとポルターガイストとキャリーを足して6で割ったような感じです。もともと中編の長さの原作では映画になりませんので、設定だけを借りてきて、あとは自由にお話を作ったようで、どこかで見たような聞いたような凡庸なお話になってしまいました。まあそれでも、そこはシリーズ物の強みで貞子と志津子、伊熊博士などが出てくるとお話にも訴求力が出てくるというものです。
しかし、今作の最大の問題点は「結局、一番怖いのは人間だ」という事になってしまっていることです。そんな70年代じゃあるまいし、手垢のついた言い草をやめて、もっと我々にとって根源的な恐怖を描いたからこそ、リング(原作ね)はホラーとして傑作だったはず。で、貞子が被害者になっているものだから、見ている側は誰にも感情移入できなくなってしまいました。田中好子なんてナチスの女将校のような冷酷無比の役回りだし、劇団の女の子にしたって臆病とちっぽけなエゴのために人を陥れようと画策する嫌な女だし。こいつらが殺されそうになったって、見ているほうは全然平気。かといっていくら薄幸そうな美人だからと言っても、あの貞子に感情移入できるはずもなく。
そんなわけで、一番怖かったのは山村志津子でした。きっと来年はリングマイナス1とか出来て、山村志津子の青春を描くんだよ。貞子の父親問題が解決していないしな。シュワちゃんでも呼んできて父親と戦わせるか?
御裁断は(最高☆5つ)