NYPD15分署
私は子供の頃から、協調精神にかけているらしく、最近では自嘲気味に「おいらは個人主義の権化だから」とかうそぶいています。前々から、なんで自分はこんなに人にあわせるのが苦手なのかと思っていました。で、この映画の主人公チョウユンファは「最後は自分の身は自分で守る男」でして、私は主人公の行動を見ながらしびれていたわけですが、そのとき電撃のように悟りました。「オレってハリウッド映画の見過ぎやん」
チョウユンファはチャイナタウンの刑事です。警察にはありがちですが、チョウユンファも実は裏の社会と結びついており、チャイニーズマフィアからは情報提供その他の利益を得る代わりに多少のことはお目こぼしをしているという、持ちつ持たれつの関係にあるわけです。で、まあ、この決して純粋な正義感の持ち主とはいえないチョウユンファなのですが、パートナーを組むことになった白人警官との友情から、自分には何の得にもならないのに、組織と対立し、FBIからは汚職警官として睨まれ、命の危機に瀕するわけです。こういう自分の中の価値基準だけに従い、自分より大きな集団と対峙するキャラクターをハリウッドは数多く描いてきたわけです。これは、アメリカ人の開拓者魂とも通じる独立心に訴えかけるからだと思うのですが、どうもあたしゃその洗礼を浴びせられすぎたか、もしくは多感な時期についつい映画を見ていたものだから刷り込まれちゃったかしたようです。自分もそうでありたいと強く願うようになってしまって、そりゃあ、日本的な和の精神とはそりが合わないわなあと納得した次第。なので、わたしゃ、上映時間の間、チョウユンファの香港仕込みのけれん味たっぷりの大げさ演技も物ともせず、「くー、男ってのはこうでなくっちゃ」と打ち震えておったわけです。
映画としてはまずまず破綻無く収まっています。アクションシーンで急激なズームアップショットが多用されていたのが気になったくらいです。それにしても中国人ってのは、やっぱりしつこいんですかね?ターゲットが既に死んでいても、わざわざ銃弾を打ち込むんですから。
御裁断は(最高☆5つ)
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