グリーン・デスティニー
チャンバラです。スウォーズマン以来の興奮です。しかも昔の香港映画によく見られた、早撮りいい加減編集ではなく、一つ一つを非常に丁寧に撮って組み上げているようです。やはりハリウッドで仕事をしてきた人の作る映画は違う。監督アンリー、アクション監督ユエンウーピンに主役のチョウユンファとミシェルヨー。きっと予算規模もだいぶん大きいと見た。
アクションはそれはそれはとんでもない。マトリックスなんてまだまだです。ミシェルヨーができる人だというのはよくわかっていることなのですが、チョウユンファがここまでできる人だとは全く知らなかった。なぜ、今まで一度もやってなかったんだろう?誰でもできるのか?近ごろのワイヤーワーク技術なら?貴族の娘さんもものすごいアクションだが、そんなにできる人のようにも見えないけれどなあ。しかし、例によって飛ぶ。跳ぶ。翔ぶ。壁を駆け登り屋根の上を飛び交う。骨とか中空になってるんじゃないの?鳥みたいに。
お話の中での対立は二つでありまして、チョウユンファ・ミシェルヨー組対チョウユンファの仇碧眼狐、とチョウユンファ・ミシェルヨー組対碧名剣を盗んだ貴族の娘。前者の対立は敵が極悪非道、見目も麗しくない悪役なので安心してみていられるのですが、アクションはたいしたことない。後者の対立は、貴族の娘は見てくれも良いし、ミシェルヨーは相手のことを思っているしチョウユンファも娘を弟子にしようとしてるので実は対立する必要なんてあんまりない。だから、こちらの方は、悪をやっつけてカタルシスってのとはちょっと違う。むしろ感情の機微を読み取るべきで。しかし、なまじっかアクションがすごいもんだから、そのあたりをついつい間違って読み取ってしまいます。これは、この映画をアクション映画としてみたときの欠点でしょう。貴族の娘側の恋愛模様の描写も、この映画をドラマベースであると考えれば、納得が行きますが、アクション映画だと考えれば、全く不要。最初っから、戻って来ないでとっとと逃げんかい!と思いますな。あげく、こちらの男は他の登場人物と違って、まったく技がないもんだから、完ぺきに見劣りする。これは、この映画をアクション映画じゃないと思ったとしても、画竜点睛を欠く。西方の野蛮人は武芸などできないということか?
御裁断は(最高☆5つ)
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