You Do Not Talk About ファイトクラブ / Fight Clubですから、映画評を書くのはなかなか難しいのですけれども。やっぱり、何度見てもフィンチャーは好きになれない。現代文明が狂っているのは、全くその通りだと思うし、僕だって今の金融システムは一度崩壊してやり直したほうがいいとも思う。痛みの無いところに幸せはないし、女性の論理だけでは男は幸せになれないというのも御同慶。
しかし、やっぱり好きになれない。フィンチャーはあざとい。途中で何ヶ所か挿入されるブラピのコマ(だと思う。一瞬だったから絶対の自信はないけど)に象徴されるあざとさがあるね。そのあざとさはよくできた伏線になっていて、それはそれで評価すべきものなのだろうけれども、しかし、やっぱり好きになれない。問題作なのでしょう。意図的にフィンチャーは自分の作品を「不快感」というトーンで整えているのだろうと思う。でも、僕は何度見てもそのトーンに真剣味があるように思えない。茶化しているのではないかという疑問が常に頭の片隅を離れない。それが、好きになれない理由なのだろう。
どうでもいいが、ヘレナボナムカーターは何しに出てきたんだ?あのあたりのシークエンスを丸々カットしてくれれば、くどいところもだいぶん減るような気がするが。この映画の本質は心の安定性を欠く男が恋をして落ち着く物語なのか?