ジュブナイル
この映画、てっきりETだと思っていたら、実はしごく全うなSFでした。面白かったです。
三つ子の魂百までとはよく言ったもので、感受性豊かな頃の経験が後々の人生に大きな影響を与えるというのは、多くの人が経験しているのだと思います。このことをポジティブに描くと、この作品のようになり、ネガティブに描くとベトナム帰還兵物のようになるんですね。物ごとに前向きに取り組むのはよいことです。
主人公の子供たちがはつらつとしていて、特に女の子なんか、あの子がクラスにいたらあたしゃ絶対惚れてますねというくらいの魅力爆発。しかも、どこかすっとぼけてて、全体の雰囲気がいい意味で軽く明るくなっています。敵の宇宙人がなんか人間くさくって、どんくさいのも一役買っていますか。なんせ、宇宙人とあぐらをかいて酒を酌み交わすなんてなあ。アホか、香取慎吾は。
しかし SF心というものは、男の子の心のあり方と非常に親和性が高いものでして、僕のようなタイプの人間にはぐっと来ます。藤子不二雄(もちろんF)に捧げられていたりして、劇中でもドラえもんを読んでいたりして、うんうん、わかるわかると言う感じでした。僕はSF心とはだいぶんかけ離れた分野に出てきてしまいましたが、ああいう大人になるのもよかっただろうなあと思いますね。いやー、子供の頃はいいんだよなあ。大人もいいんだけど。
日本映画の水準も上がったものです。確かに、この映画はどこかでみたイメージの集合体でしかないのですが、それでも模倣はオリジナリティーの土台になります。上手な模倣は希望の証です。もうしばらくしたら、日本映画もオリジナルなイメージをもっと量産して、怪獣映画やアニメじゃない分野でも、ハリウッドと伍していけるでしょう。少なくともおんなじようなイメージであれば、母国語のドラマの方がずっと微妙なニュアンスを伝えられるのだから。楽しみです。
それにしても、ローソン。あんたら、せこいよ。みっともない。あんなふうにわざとらしく店を映させるなんて、恥ずかしいよ。雰囲気をぶち壊してるじゃないか。この映画はSFなんだから、現実感を遠ざける必要があるってのがわからないのか?そのために作り手がいろんな努力をしているのに、宣伝効果というお金もうけのことしか考えてないんだろ?
御裁断は(最高☆5つ)
2000年に見た映画へ
一覧へ