キッド
いい映画でしたよ。ディズニーらしい、善意に満ちた映画で。いや、本当に。でも、どうかな。この映画のターゲットはどんな人だろう?いい映画だとはいえ、この映画、子供が共感できるかというと、そういう部分は少ない。かといって、大人が見るには、あまりに甘くて、これはディズニーなんだって思っておかないと、なかなか辛い。そうだなあ。子供時代から離れつつあるくらいの年代の人が見れば、10歳前後から中学生くらいまでの年の子が見れば、素直に感動できるかもしれない。でも、それってあまりにニッチじゃないか?
40歳の誕生日を目前に控え、現実世界で成功しているものの、端から見ると他に犠牲にしているものが多いんじゃないの?と言われるような人生を送っているブルースウィリスが、8歳の自分に出会って、自分を見つめ直して忘れていた優しい心を取り戻すお話です。これだけ聞くと、まあ、ありがちなテーマで、大林映画にたくさん出てきそうです。まあ、この作品は最後で、軽くもう一ひねり効かせてあって、うまく作れば割りといい出来になってたかも知れません。でも、構成がゆるいんですよね。精神分析の常道ですが、心の重荷を取り除くためにはその重荷を封じ込めるのではなく、直面することで克服しなければなりません。この映画のクライマックスはそこになっているのですが、いまいちそのことが前半で明快になっていないので、突然のブルースウィリスの変心も説得力に欠ける。なんぼなんでも、あのニュースキャスターがあんなに親切にしてくれへんやろう、普通。いや、まあ、これはディズニーだから。
でも、この映画の問題はそういうところにあるんですね。いまいちブルースウィリスのキャラクターの描き方が弱いのかな。それとも、ブルースウィリスに問題があるのかな。もっと前半で悪辣キャラ爆発させたほうが良かったんじゃないだろうか。どうみても、ブルースウィリスの方が普通の社会人で、彼を悪く言う回りの人の方がアホどもだぞ。レジまで来て、財布がないないと騒いで後ろの人に迷惑かけたらあかんやろう、普通。いや、まあ、これはディズニーだから。
ブルースウィリスは、でも、こういう役もやるなんて、意欲的ですね。そこは買います。それからリリートムリンがよかったよ。いい味だった。いや、でも、なんども繰り返しますけど、いい映画だったんですよ。
御裁断は(最高☆5つ)
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