この胸のときめき
交通事故で死んじゃった嫁さんの心臓を移植した女性に恋する男が主人公の変態恋愛の物語でした。移植されたほうがミニードライバーでして、不細工一発、まったく共感がもてませんでした。あげく、自分が手術経験があることを過剰に意識していて彼に隠しているものだから、問題が発生して、それが恋愛映画で必要不可欠な要素である、二人の仲を引き裂く障害として唯一のものなのだから、感情移入のしようもありません。勝手にやっててって感じです。
それに後味悪いですよ。自分の大切だった大切だった美人の嫁さんの心臓が中に入っている人とねんごろになるなんて、僕には絶対に出来ないなあ。それって、裏切り行為そのもので、しかも裏切った相手が現場に立会っているという。倒錯だ。変態だ。私ら日本人だからね、物にも魂宿ってるんだからね。心臓なんて人格がそのまま残ってるようなもんやないですか。そういえば、そういうテーマの映画もあったな。見てないけど。
作り手は、亡き妻との見えないつながりという要素も考えていたんでしょうが、映画の中では二度ほのめかされただけで、あとは立ち消え。まあ、確かにそっちの要素を強調していくと、今度はミニードライバーの人格を処理しなくちゃいけなくなるわけで、どっちみち二律背反か。うーむ、どうにも解決できない。
こういう映画の評を書くときは、締めにちょっとだけ、いいところにも触れておくときれいに終われるんだけど、長所、何もない。まあ、どうしようもない短所も特になかったんだけどね。
御裁断は(最高☆5つ)