ロミオ・マスト・ダイ
リーリンチェイのアクション以外はまったく焦点の定まらない作品に仕上がっています。まあ、彼のアクションが見れればそれでいいんですけど(アメフトのシーンは御愛嬌で目をつぶりましょう)、それならそれで妙に物語をきちんと語らなくてもいいんですがね。骨抜きにされた香港映画のようでした。それにしてもリーリンチェイはチビだわ。映画の中でもなんどかセリフにあったけれども、それにしてもヒロインよりも背が低いんだものなあ。これが主役だというのは、新機軸だといえばいえなくもない。
しかし、何と言ってもこのお話で致命的なのは、陰謀のオチが明らかにされ、もっとも憎々しげに描かれてきた悪役がリーリンチェイによって倒されるのではない、と言う点です。リーリンチェイが一番活躍するシーンの悪役ってのが、そこまでずっとコミカルな憎めない役柄だった人たちですから、見ているほうとしても盛り上がりに欠ける。消防ホースを使って、敵を殺すことなく倒していくところなんて面白いんですけどねえ。このあとにアクションのクライマックスが来て欲しいものです。一番最後に一対一の対決シーンがあるんですけど、これは普通のカンフーですからねえ。しかも、この時の敵の悪らつさはほとんど描かれていませんしね。陰謀の黒幕のネタを早々に割ってはいけないと考えたのでしょうが、逆効果でした。あと、黒人ファミリーと中国人ファミリーの構造をほとんど同じにしてるのは、いったいどういうことでしょうか?これのおかげでラストが二倍に薄められて、散漫な感じを高めているという。
それから、白人の投資家とギャングどもとの関係もわかりにくかったですね。それにしても、最近、中国系の悪役の冷酷非道さが目立ちます。それに比べて黒人の描き方のよくなったこと。一つの人種偏見が消えると、別の人種偏見が現れるという。ほんとにきりがない。いや、他のターゲットが見つかったからこれまでのターゲットが見逃されるようになったのかな。ほんとにしょうがない。
それにしても、カンフーシーンにはいろいろ趣向があったのにねえ。
御裁断は(最高☆5つ)
2000年に見た映画へ
一覧へ