風雲ストームライダース
すげえ、すげえよ、香港は。ハリウッドがやっとワイヤーアクションを覚えはじめた頃に、こちらでは秘術をつくした闘いが繰り広げられているのだから。しかも、ビジュアルばりばりで。飛ぶからなあ。脚力で飛ぶ。気合いで飛ぶ。扇子で飛ぶ。水や岩は思念で武器と化し、エネルギー弾が乱れ飛ぶ。幽体離脱はあるわ、腕は交換できるわ、炎のドラゴンは出てくるわ、とにかくすごい。しかも、ちょっと前の香港映画と比べると、ストーリーテリングの腕前が確実に上達している。無駄な話の展開があんまりないものな。けっこうたくさんの登場人物が出てきているのに、一応のレベルで混乱をおこさず踏みとどまっている。例えば、ワンスアポンアタイムインチャイナとかスウォーズマンとか、お話がはちゃはちゃに破綻していました。
それにしても、中国における武術界とはどういう存在なんでしょう。権力機構とはまったく独立に存在しているのでしょうか?天下制覇が今作の話の中心ですが、それは、実際に世の中を支配するということなんでしょうか?その割りには、軍隊みたいなのは、いないし。彼の国では司馬遷以来、英雄しか存在してはいけないのでしょうか?人民解放軍はどうなるのだ?で、少林寺は?あれは宗教関係?なんか、この映画では治外法権というか、争いの外に立っていたようですが、そういうことを許されるのは、いったい、なんでなんでしょうか?うーむ、奥が深いぞ。
それにしても千葉ちゃんですわ。けっこう年でしょうにアクションもしっかりしているし、しかも、悪の権化のような役柄にも関わらず、とても人間的な一面も見せていて、見事な演技だったですよ。雄覇のことは決して憎むことは出来ません。けっこういいやつなんですよ。最後には倒されちゃいますけど。
しかし、一番タチ悪いのは、千葉ちゃんの娘でしょう。あれ、どう言い訳してもビッチです。平気で二股だもの。で、風も雲も傷ついているのだから、ナイーブな主役二人でしたな。
しかし、結婚式の前日の夜に一人で見た映画がこれだからなあ。いい独身生活だったなあ
御裁断は(最高☆5つ)
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