スーパーノヴァ
しばらく前から制作現場が大混乱を極めているという噂を風の便りに聞いていた映画、日本公開(するのか?)を前にしてヨーロッパから帰る飛行機の中で見てきました。おそらくグチャグチャしたものが出てくるシーンはお子様向けにカットしてあったと思うのですが、そんなことはこの後の批評にはまったく影響しません。
いやはや混乱もここに極まれり、でした。物語の焦点は、安上がりのトムクルーズみたいな顔したアンちゃんがどこぞで拾ってきたという、
「九次元で作られた物体を三次元の物体で囲ってあるものだ。もし、九次元の物体が三次元世界と接触すれば、宇宙が消滅するほどの大爆発、超新星が起こる」
「要するに爆弾か?」
「そうだ」
というものですから、何をかいわんや。あげくこの爆弾爆発するんですが、その結果は「地球に爆発の影響が及ぶのは51年後だ。その時地球は消滅するか、人類が超人類に進化するであろう」との御宣択までついてきまして、私が頭が痛くなったのは、決して気圧のせいでもなく、ワインをがぶ飲みしていたせいでもなく、時差ボケのせいでもなく。
主役の二人と悪役の間には過去に何か関係があったようなことがほのめかされるのですが、それはストーリーとはまったく関係なく。コンピューターは何か人間らしさをプログラミングされているようなのですが、それもストーリーとは関係なく。船長はトムとジェリーを見て博士論文を書きつつワープ途中の事故を予見しながら、わざわざ事故を回避する策をとらずにグチャグチャしたものになってしまい。女性船員の一人は彼氏を裏切って悪役のニセトムクルーズと無重力セックスに至るのですが、その後は何もなかったように彼氏に接し、ストーリーとまったく絡むことなく真空の大宇宙に放り出され。彼氏のルー・ダイヤモンド・フィリップスはわけもなく逆立ち腕立て伏せを披露してくれますが、結局超新星は爆発し。
この映画を「ある意味ではすごい」とか、言いたくても絶対いえねえ。
御裁断は(最高☆5つ)