トーマス・クラウン・アフェア
私はオリジナルの華麗なる賭けを未見です。だからかもしれませんが、巷間言われているようなほど、この映画をつまらないとは思いませんでした。確かにサスペンスの部分とロマンティックな部分が中途半端に混ざり合っていると言う印象はまぬがれませんし(というより、ジョンマクティアナンにロマンティック演出は無理だということでしょうか)、レネルッソのあまりの名探偵ぶりは御愛嬌としても(それにしても、なんで警察はあんなに協力的なのだ?)、絵画泥棒というメインストーリーにからんで登場人物の駆け引き関係が変化して行くというお話は面白いし、サスペンス部分をとればこの監督の腕は一級なので、退屈はしませんでした。
でも、まあ、本当は三角関係みたいなお話だろうに、男の側の感情描写がほとんど何もないので、トーマスクラウンにしても刑事にしてもやっていることの説得力がほとんどありません。逆ノッティングヒル状態です。じゃあ、レネルッソに集中して、と思っても、「この人信用できるのかしら?でも、ああ、好き!」という心の動きはうまく表せても、しょせんは野獣。中ごろの情交のシーンなど、農耕民族の目には濃すぎました。
昔からうすうす思っていましたが、ジョンマクティアナンは男の事しか理解していませんな。冷静で有能な女も一度振り向かせれば熱い女に大変身で本当は弱い女なの、なんて古典的な理想の女性像そのものじゃないですか。しかも、そういう女の人をメロメロにさせる。野卑な男の夢ですな。でも、だから、僕はジョンマクティアナンが好きなんだけど。
それから、ビルコンティの音楽最高!星一つ分くらいアップしてますよ。オリジナルのスコアも取り込んでいたりして。
オリジナルが見たくなりました。
御裁断は(最高☆5つ)
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