ワンダー・ボーイズ
マイケルダグラスは処女作がベストセラーになったものの、二作目がいつまでたっても完成しない作家で、同時に大学で文学を教えています。彼の学生で、情緒不安定だけれども作家としての可能性を秘めた若者としてトビーマグワイア。この映画は元神童と来るべき神童が過ごすトラブル続きの何日かを描いています。そうして、元神童は昔の輝きを取り戻し、来るべき神童はチャンスをつかむという。途中はいろいろと苦さの味わえるストーリですが、ラストは甘めです。結局、収まるところに収まってハッピーエンドなんですね。
マイケルダグラスのスランプは過去の栄光(とタイプライター)を捨て去ることで解決するのですが、単にこの映画は、「過去の栄光にとらわれずに前進しろ」というモラルを描くことが目的だったんですかね。だったらそのテーマはちゃんと伝わってくるんですけど、なぜそのテーマを描かなければならなかったのかは、よくわからなかったです。原作物だとのことですが、ちゃんとテーマが消化しきれてなかったのかもしれませんね。すっかり怪優になってしまったロバートダウニーJrのキャラクター設定とか必然性がよくわからなかったですし。
それにしても、この映画を見ていると作家なんて楽な商売だなあと思う人がたくさん出てきそうですね。レストランで隣の人の見かけからその人の生活風景や過去をでっちあげる遊びなんて、僕でもよくやってますけどね。あっしも作家にでもなるかな。
作家が、書くためのモチベーションって、どこから生れてくるのでしょうね。この映画だって、モチベーションもないのにだらだら書き続けているのが、一つの問題だったでしょ。でも、それって、僕のような論文書きでもおんなじことなんですよね。職業上の必要から論文は書き続けているのですが、これって惰性じゃないのかなって思うことはよくあって、そういう時の論文は出来が悪いんですよね。幸い、僕らの場合はそういう論文は人目につかないところで公表されるので、あっという間に闇に葬られて、業績リストの中にしか存在しなくなる。そういう意味では文書きの方が作家よりも恵まれているかな。批判されず、ただ無視されるだけだから。こっちもダメ論文だってわかってるしね。
御裁断は(最高☆5つ)
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