A.I. / A.I.
アシモフ御大が見たら卒倒しそうな出来の悪いロボットだな、まったく。こんなテーマを語るんだったら、主人公をロボットにしなければいいのに、まったく。まあ、アメリカ人の考えるロボットや人工知能があんなもんなんだったとしたら、日本の将来も安泰ってもんだよ、まったく。
閑話休題。この映画は、愛についての強迫神経症的物語です。もしくは、ユニークであることリアルであることについての妄執についての物語だともいえます。ロボットは、この三つを求めて旅をするわけです。で、このようなものが現実に存在しているといまだに信じちゃっている世代の代表たるスピルバーグの作品ですから、もちろんこの話を肯定的に、優しく、情感たっぷりに描いています。しかし、スピルバーグ印100%の映画は見てもちっとも面白くないのは歴史が証明している通り。
このお話、結末としてロボットは愛とユニークさを手に入れた気にさせてもらって御満悦なのですが、これじゃあ「おいおい、2000年もかけてリアルであることを追及してきたのに、最後はそんなまがい物で満足するんかいな」と突っ込みが入るのは必定です。炭素で出来てるかどうかが重要なんかい!
愛なんていう概念は厄介なものですぞ。この作品で描かれている愛は、基本的に押し売りでしょ。でも、「愛」という錦の御旗があるもんで、その暴力性について、(少なくともスピルバーグは)異議を唱えることが出来ない。で、グルグルグルグル苦しむわけです。愛なんて我々人間にとって扱える範囲を越えているんじゃないですかね。もともと存在しないものとして扱っちゃいけないんですかね?
それにしても、キューブリックはもともとこの企画をスピルバーグに監督させたがっていたというし、できたものも彼のビジョンに忠実であるという。ってことは、やっぱりキューブリックも晩年は焼きが回ってたってことですかね。年はとりたくないものだ。
御裁断は(最高☆5つ)
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