スターリングラード
スターリングラード攻防戦と言えば、第二次大戦の転換点のうち最大級のものの一つです。その話を、しかも実話に基づく話を、ソ連の側から、あのジャンジャックアノーが監督するといえば、大戦争ロマン映画になるもんだと当然期待するじゃないですか。題名なんて「スターリングラード」だし、まるで「ミッドウェイ」みたいに三船敏郎=山本五十六って感じ(ボブホプキンス=ニキータ・フルシチョフはおかしかったが)の濃い映画になっていそうだ。上映時間は前後編で合わせて4時間56分とか。
ところが開けてみたら、愛アリ友情と裏切りアリ宿敵同士の命を懸けた対決アリのドラマでありました。ついでに政治的にヒーローにさせられた青年のアイデンティティの悩みまで振りかけられていた。お腹いっぱい(いや、いい意味で)。主役のロシアの英雄スナイパーにジュードロウ。その恋人にレイチェルワイズ。赤軍の政治将校にジョセフファインズ。敵のドイツ軍スナイパーにエドハリス(キャスト紹介をすれば中身の説明なんて要らないなあ)。それに、ロンパールマンまで出ているから豪華キャストによる大作なんですな。エドハリスとロンパールマンが良いです。レイチェルワイズもお尻見せてがんばってます。ドラマとしてみれば、ジュードロウ対エドハリス、ジュードロウ・レイチェルワイズの部分が非常に緊迫感があって見せてくれました。ジャンジャックアノーさん、いつのまにこんな娯楽映画が上手になったんでしょう。一方、ジョセフファインズ絡みのパートはイマイチでしたかね。この人ってダイコンじゃないかとの疑いを持たざるを得なくなりますよ。
で、プライベートライアン以後なので、オープニングの渡河シーンはリアルの極地。血みどろ。でも、戦争映画としてはここまで。ここから後は、スナイパーの映画なので、撃つか撃たれるかという静かな戦いになっていきます。でも、緊迫感は大したものです。手に汗握りました。この対決のパートは西部劇的を思わされました。
それにしても、以前から生まれ変わっても旧日本軍の兵隊になってバンザイ突撃だけはやりたくないものだと思っていたが、ソ連軍の兵隊はもっといやだなあ。せめて武器くらい持たせてやれよな。
御裁断は(最高☆5つ)
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