ファイナル・デスティネーション
夜はこたつのコンセントを抜いてから寝ようと思わさせられる映画。
たまたまこの映画を見た日というのが、日航機超ニアミス事件の翌日で、そこかしこのニュースで如何にこの事件が大惨事の寸前まで行っていたかを繰り返し見ていて、で、あたくし長崎に住むようになってから飛行機を利用する頻度が非常に高くなっていることもあり震え上がっていたんですよ。あたしもインテリざんすから、飛行機が空を飛ぶ原理くらい頭では理解しているざますけども、やっぱり体の芯は受け入れていないのか飛ぶたびにいつも怖いなあと思っているざます。それが、この映画のっけから飛行機恐怖症のつぼをパワフルに突いてくる演出で、もう見ているこちらまで脂汗。やっぱり窓から翼についた汚れを眺めるとイヤーな予感がして精神衛生上よろしくない。
で、主人公のユアンマグレガーもどき君は、立派なことにイヤーな予感に従いパリへの修学旅行(って、そんなものがアメリカにもあるのか?)に出発する直前の飛行機から降りてきます。数人の同級生と先生を道連れにして。そしたら、あーた恨めしそうに眺めている同級生達の目の前で、飛行機爆発しちゃうじゃないですか。助かった同級生達、主人公に感謝の言葉もなく、友人が死んだのはお前のせいだとばかりの態度をとるのは、さすが生き馬の目を抜くアメリカといいましょうか。まあ、とにかく運命の歯車が狂ってしまったわけで、その後まるでつじつま合わせのように生き残った人たちが不慮の事故を遂げ始める。タイムパラドックス物じゃないんだから別につじつま合わせる必要はないと思うんだが、どうもそうではない人がいるらしい。それは誰かって?し、し、死神です。
いや、笑っちゃあいけない。これが思いの外面白い。死神(とはいえあからさまには出てこないのがおくゆかしい)は実際に人に手をかけるのではなくって、事故をおぜん立てするんですけど、そんなに都合よく物事がおこるかいな!っていうような偶然の連続で起こりそうもない事故が起こるという話になっています。しかし、どんな偶然でも、そんなんあるかいというようなことでも死神が介在しているんですから御都合主義とのそしりを受けることもないというのは便利なものです。いや、超ニアミス事件の経過からすると、偶然の連続ってのはそれほど御都合主義ではないのかもしれないかもしれないけど。
死んでいくときの表現が少し品がないのが玉に瑕です。これなら、実際に死ぬところを描写しなくても十分怖いように思います。なんせ今から死ぬとわかっている人の行動を見ていると、なにげない動作の一つ一つが「あ、これで死ぬんやろか」と思わされて怖いのなんのって。古典的なサスペンスですね。それにしても思えば我々の日常生活にはすぐに死に結びつくようなものがたくさんあるんだなあなんて、マジメに受け止めてしまうくらい怖かった。
御裁断は(最高☆5つ)
最近見た映画へ
一覧へ