JSA / JSA
38度線をはさんで対峙する北朝鮮軍と韓国軍兵士の間に生まれる友情と、国家間の対立がその友情を引き裂く悲劇を描いているわけだが。
このお話を、例えば「戦火の勇気」のような「本当は何が起こったのか?」型の軍隊ミステリーの体裁で描くわけです。しかし、この手の映画では、隠されているのが悪であるのが常道で、その悪を隠す勢力(これが軍隊の論理的には悪でないのがこの手の映画の常道で)とそれを暴く正義の捜査官(結局捜査官は軍と決別するわけよ)との対立がドラマにダイナミズムを生むものです。なのに、この映画では、そういう仕掛けは施されていなくて、真実を明らかにしようとする側がただの考えなしにしか見えないという大失態を犯しています(いや、でも本当にそういう設定なのかもしれない。よく考えたらそういう描写もあったぞ。しかし、その設定って不必要だよなあ)。あげく美人捜査官(日本人男子としては、たまらんタイプ。韓国の女優さんはどうしてこうどいつもこいつも)の過去にまで南北対立の悲劇を埋め込むという行為に出て、またそれがほとんどドラマに効いてこないという下手さまで見せてます。イチャモンをつけることが困難な、重たく重要なテーマを扱っておきながら、映画としてはイマイチ盛り上がりに欠けるのは、そのへんでしょう。
あたしゃ、お隣の国の事情はよく知らないのだけれど、彼の国では友情が生まれると本当にあのように大のオトナ同士が遊ぶんですかね?それともあれは前線生活でのストレスから生じる幼児退行現象のなす業か?それにしても毒蝮三太夫を20%ほど横に圧縮したような男とネプチューン原田もどきが子供のようにはしゃぎ戯れるんだから面妖ですぞ。
御裁断は(最高☆5つ)
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