ソードフィッシュ
こりゃさすがに公開延期になるのも致し方ない。
テロ前なら、アメリカの正義なんてこんなもんだよなとシニカルを気取って流すこともできたろうが、今この状況下においてはそうも言っていられない。良い娯楽映画はその中に一片の真実を含むものなのだ。
その意味でこの作品は不幸である。状況が私をして星半個減じさせてしまう。この作品は、観客の頭の中を常に半歩行くストーリー展開が売りの映画であって、その中ではよくできている部類だ。いきなりお話の中盤から入って、一度昔に戻ってからオチに持っていく劇構造は効果的で、とっても面白い(ただし銀行に入る直前のシーンまでだが。何度も言うが、そこから先はやっぱり素直にお話を楽しめないよ)。この作品は、劇中でトラボルタが言うようなミスディレクションの映画ではない(そのへんをこの作品を担当した配給会社の社員はよく考えるように。今回の宣伝方法は稚拙きわまりない。作品の長所を半減させるような宣伝してどうするというのだ)。この映画のオチはあくまで観客の予想の範囲内だろう。
トラボルタはパルプフィクションの殺し屋をぐーっと展開させたような役。ヒュージャックマンは若いころのクリントイーストウッドみたいな表情の役。ハルベリーは、あんなにすったもんだして見せた乳がたいしたことなかった役。ドンチードルはいつもおなじみの役で、サムシェパードはなんでこんな役をやろうって気になったのかさっぱりわからない役。なので、トラボルタの独壇場であることよ。
やっぱりスカーフェイスは傑作である。我が意を得たり。
御裁断は(最高☆5つ)