ギフト
サムライミの昔からのファンは、彼のぶっ飛びキレキレ演出やリアリティなんて屁とも思わぬストーリー展開を気に入っているわけで、ここ何作かの路線に対して食足りなさを主張する人もたくさんいます。「ラブオブザゲーム」などは、徹頭徹尾現実から足を放さないという映画でしたよね。
それが今度は霊能力者の話です。で、非現実的なストーリーを真正面から描くということで、ひょっとして昔のサムライミ復活?という期待を持っている御仁もいるでしょうが、残念でした。あなたの期待は満たされません。ただし、事件の解決方法にサムライミ的モラルが横たわっているように思います。だから、この映画を「サムライミはいまだに魂を売ったままだ」と評価するべきではないというのが僕の意見です。彼のことをもう少し懐の深い人物として受け止めるべきでしょう。
サムライミにとって父というのは、一つのテーマになっているのでしょうか?今作の登場人物の一人にとっての父親像はクイック&デッドのディカプリオとジーンハックマンとの関係と似たところがあるように思います。今後、この点は注意しておかなくては。
南部を舞台にしているにも関わらず非常に寒々とした映像です。マングローブ林なのに、まるでブレアウィッチの森のような映像になっている。劇中でレッドネックと称されるキアヌリーブスも全然暑苦しくない(これはミスキャストだよねー)。ケイトブランシェットはもともと涼しい顔しているし。それにしてもケイトブランシェット演じるところの決して裕福とは言えない白人女性はよく造形されていたと思います。特に衣装が。大変説得力が。
ちょっと思ったんだが、この作品ってサムライミ版「アンブレイカブル」なのかもしれないな。
御裁断は(最高☆5つ)
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