トレーニング・デイ
あたしゃこのページでは以前から事あるごとにデンゼルワシントンを罵ってきたものです。彼の何があっしをイラツカせるかって言うと、あの正義感。暑苦しい。それがお前さん、今回は強烈なヒールに徹するというじゃありませんか。これまでの悪態の罪滅ぼしもあるし、こいつは見ておかないと。それに、これを見とかないと今後同じパターンで攻撃したときに「でも、トレーニング・デイの悪役は素晴らしかった」と反論されて足元をすくわれる恐れがある。それだけは避けなくては。
そういう不純な動機で見に行ったわけで、白状すると最初ッから偏見プンプン、何とかしてデンゼル君のあら探しをしてやろうと思っていたわけです。しかし、すいませんでした。あたしが悪うございました。デンゼル君、上手でした。次第次第に悪の本性発揮していく迫力。暑苦しくっても見逃します。
この映画、構造としては巻き込まれ型のサスペンスのはずなのですが、デンゼル君のパワーの前にイーサンホークは影が薄く、本来物語的にはクライマックスになるだろう逆襲のカタルシスが見られません。デンゼル君が「悪と戦うために純粋ではいられない」と説く前半部分のほうが後半部分よりも面白いのです。まあ、人物造形としては悪も善も持ち合わせている複雑な人物の方が魅力的ですわな。魅力的といえば、スコットグレンも出番は少ないものの面白かった。
デンゼル君と言えば、戦火の勇気のラストシーンは主人公が家に帰って、色々あったけど家族に優しく包まれるというものでした。今作も同じように家に帰る主人公の後ろからのショット。しかし、こちらはイーサンホークの心に深い傷が出来たことを暗示する暗いラスト。思えば、ずいぶんなトレーニングデイだったことよ。
しかし、冷静に考えてみると、イーサンホークを巻き込む必要なんて全然なかったじゃないですか。一週間もかけて不必要な計画を練った結果があれになっちゃあいかんでしょうよ。
御裁断は(最高☆5つ)
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