ホワット・ライズ・ビニース
初期のデ・パルマのようにヒッチコックフォロワーは、往々にして肩に力が入りすぎて息苦しいサスペンスを作ってしまいます(最近のデ・パルマは、スネークアイズなど、その辺がこなれてきているのでよいのですが)。才人ロバートゼメキスと言えどもそれを免れることは出来なかったようです。全編ミシェルファイファーの血管立てた神経症的演技を見ていると、こちらも息苦しくなります。それに、怖いシーンがインディジョーンズ並に連続つるべ打ちだし。
ヒッチコックからの影響を指摘するのは非常に簡単で、裏窓、レベッカ、サイコ、断崖などが思いつくところです。また、観客をミスディレクションするやり方だとか(あれだけ予告編でネタを割っているから、これくらいは書いても大丈夫かしらね)もよく研究されていると思います。あざといショック演出も含めざるを得ないのはこの時代だからしょうがないとしても(音楽はうるさすぎるが)、それ以外にも、ちゃんとヒッチコック言うところのサスペンスフルな状況設定を作り上げていくクライマックスは非常に好感度が高かったです。 それから、ヒッチ映画のファンは明かりがつくまで席を立たないように。エンドタイトルの音楽はバーナードハーマンの幽霊が作曲したのかと思うくらい、雰囲気抜群だから。
ところでミシェルファイファーのダンナがハリソンフォードなのですが、遺伝学者という設定です。で、既に死んでいる父親が高名な数学者で、ハリソン君は父と間違われることにコンプレックスを感じている小心者と言う設定。似合いません。どうみても正義の味方なんだから、あなたは。キャスティングのユニークさを求めたのかもしれませんが、以前にもあの作品があるじゃないですか。だから、二番煎じでもある。
それにしても、高名な科学者として認知してもらいたければ、いくら怪奇現象が起こったとしても悪魔祓とかまじめにやっちゃあダメでしょ。そりゃ、あんたいつまでたっても二流だわ、と自分のことはさておき突っ込んでおきましたから、御安心を。
御裁断は(最高☆5つ)
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