ハート・オブ・ウーマン
ウェルメイドである。安心してみていられるし、作り手に品を感じることが出来て好もしい。欲を言えばあと30分くらい短くしてればということと、ラストの処理。この映画は、女性が強くなった時代の一つのラブストーリーではなくて、世界の半分しか見てこなかった、いや世界の中のたったひとりの人間である自分の心の中しか見てこなかった男の中の男が、人の気持ちをくみとることの重要性に気がつくというお話である。。ある、べきである。男女の役割が逆転したことを、映画の一番重要なポイントに据えるなんて、一時代前のフェミニストのしそうなことは、この手だれ監督の意図ではないと信じたい。であるならば、この映画のオチをあんなどうしようもないセリフにしたのは間違いで、僕ならプロムのシーンを最後に持ってくる。で、そこはサラッと流して描くけどなあ。ヘレンハントも一緒にプロム会場について行くのもよいかもしれん。そうしたらこの映画の後半の、少々散漫な印象は薄れるように思うんだけどな。
メルギブソンは、リーサルウェポンでは1 から4まで使ってリッグスのキャラクターを徐々に変化させたものですが、今作ではその変化を一気に行ったという感じの演技でした。映画が始まった当初は、ギャグをかましていても目の奥にどっか狂ったところが見えるなあと思っていましたが、後半はおちゃらけ爆発。あ、これってペイバックもそうだったか。あれよりは、こちらの方がキャラクターの変化に必然性があるというものか。しかし、いきなり会議の時に渡された、これまで使ったこともないような女性用品の数々を試してみるメルギブはなかなか優秀な人材であることよ。もっと取り立ててやれよ、社長さぁん。
いやまあ、この映画がリアルな女性心理をとらえていたとして、だとしたら女性ってのは大変な人生を送っているものですな。マリサトメイのような、あんな風に心の中にグツグツしたものを抱えて日々の市民生活を送るのは大変だろうて。ヘレンハントにしたって、ああいうストレスの感じ方してたらしんどいだろうなあ。あげく睡眠不足なら確実に過労になるわな。みんな、一人で心を落ち着かせる術を知らないのか?だから、理解してくれる人を癒してくれる人を求めているのか?それって本当なの?それって依存心とどう違うのさ?
不安の解決を外部に求めることが不安を増幅するんじゃないかと思うんですがね。まあ、いいけど。
御裁断は(最高☆5つ)
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