アバウト・ア・ボーイ
「ブリジット・ジョーンズの日記」の男性版という触れ込みだが、下手な宣伝も休み休みにしてくれないと困る。危うく、見ないで済ませるところだった。よく見たらタイトルで謳ってるじゃないか。子供についての話だって。「ブリジット・・・」のような登場人物に何の成長も無い自己肯定型ファンタジーとは違う。ヒュー・グラントはちゃんと少しだけオトナになった。
お話は、人は自分のお城に閉じこもって生きてちゃいけないっていう、ありきたりなものなのだが(閉じこもるのはコドモ、人と繋がるのはオトナ)、丁寧にエピソードを重ねて語られるので、素直に楽しめる。まず導入がスマートである。ヒュー・グラントとバルカン星人の子供(彼が学校に馴染めないのは、エキセントリックな母親トニコレのせいではなくて、あの眉毛のせいに違いない!!)のモノローグを対比させて二人の状況をあっという間に説明してしまう。そして、その二人が出会うまでのお話の転がし方が上手で、しかもそこまでに使ったプロットもしっかり後でフォローしてある。とてもミニマルなクライマックスに至るまで、非常に感じが良い。まあ、ラップ少女とかちょっと虫が良すぎるエピソードもチラホラ見えるが、ご愛嬌だ
しかし、やっぱりこの映画を面白くしているのは、少年の視線である。あの少年の眉は、異星人の客観的な視線を表しているのであって、それがこの映画のユーモアに必要不可欠なものなのであーる!!と言い募りたくなる。だいたい、あんな「よい子」なんか実際には存在しないよ、きっと。ほーら、やっぱり彼はミスタースポックの係累に違いないんだ。そーに違いない。
御裁断は(最高☆5つ)
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