スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃
今回、ルーカスはエピソード1の轍を踏まなかった。過剰な説明を避け、見せ場を途切れなく繰り出し、ジャージャーの出番は減った。そして、エピソード4と6の焼き直しに過ぎなかったエピソード1とは違い、今作はこれまで見た事が無い世界でのジェダイの活躍を見せてくれた。スターウォーズとしては、完全に正しい映画だったのだ。でも、前回は全てジャージャーのせいにして目を背けることができた現実に、今度こそ直面しなくてはならなくなったのだ。もう、私の人生にスターウォーズは必要ではない。少し悲しかった。
エピソード2は見せ物映画として、まっとうに面白くできている。コルサントでの追跡シーンや、ジャンゴフェットとオビワンの戦いのシーンなどは、きっちりワクワクハラハラする。しかし、何度もオールナイトに通ってエピソード6のスピーダーシーンを見たり、エピソード1の公開を指折り数えて待ちわびて何人もの友人と連れ立って先行オールナイトに行ったようなことを、エピソード3ではやらないだろう、と思う。これは私が年を取ったからだけではないだろう。70年代にスターウォーズを特別なものにしていた突出した見せ物性は、今や特別なものではなくなってしまったからだ。これはスターウォーズが切り開いた、娯楽映画の流れの当然の帰結なのだろう。今や、スターウォーズを特別なものとして受け入れる事が出来るのは、限られた年齢の人たち、つまり思春期以前の子供だけなのではないだろうか。
良い映画は、必ずしも特別である必要はない。ただし、エピソード2を楽しむ為には、正義の側悪の側という色分けをして映画を観る意識を捨てたほうがいいかもしれない。そもそも主人公は悪の道に落ちる運命だし、歴史というのは往々にして複雑なものだ。そう、エピソード2は主人公たちの冒険話ではなく、銀河を揺るがした大事件の叙事詩になっているのである。
まったく話が変わるが、今回はすべてをデジタルで撮影したというのが売りである。しかし、結論を言えば、これは時期尚早であった。私のような素人が見ても、デジタル映像は大スクリーンで上映できるほどの画質をまだ備えていない。CGなどの特撮のシーンはまだいい。ダメなのは、実写のシーン、特に少し暗めのシーンである。画像は荒いし、オブジェクトの境界付近には色のにじみのようなものが見える時があるし、一度は髪の毛と背景の合成部分にブロックノイズのようなものまで見られた。このような画質が今後の映画のスタンダードになってしまったら、これほど困る事は無い。ああ、それでもエピソード3は、それでもやはりデジタルで撮影されてしまうのだろう。ちょっと暗い気持ちになる。
あー、なんか後ろ向きなことばかり書き連ねてきたが、☆は高いよ。だって、スターウォーズとしては良くできているんだもの。
御裁断は(最高☆5つ)
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