チェンジング・レーン
宣伝では、まるでベン・アフレックとサミュエル・L・ジャクソンの男と男の意地のぶつかりあい話という、フランケンハイマー物ではないかと誤解しそうな扱いをされているのだが、オープニングクレジットを見たら、ウイリアム・ハートは出てるし、シドニー・ポラックは出てるし、トニコレは出てるし、あげくにアマンダ・ピートまでと、曲者ぞろいの豪華共演陣が揃った分厚い人間ドラマであった。それにしてもサミュエル・L・ジャクソンはとんがったモーガン・フリーマンかはたまたモーガン・フリーマンが上品なサミュエルかといった感じだが、そういえばちょっと前にハイクライムズでもモーガン・フリーマンがバーボンのグラスを前に悩んでいるシーンがあったなあとか、そういえばあの映画にもアマンダ・ピート出てたじゃん、これって今はやりのセレンディピティってやつぅ?とか思ったり、ウィリアム・ハートは何しに出てきたんだと思ったり。
最初はベン・アフレック演ずる能天気チンピラ弁護士のあまりの身勝手さに、いけいけサミュエルこんなやつ主役にさせておくことない!と思っていたものだが、後半「己の悪に直面してはじめて、自覚的な善に目覚められる。ただしそれは無邪気なものではない」というテーマが立ち現れるにいたって(磔のキリストを出すのはやりすぎと思わんでもないが)、これはやはりベンが主役であることを納得。はまり役であった。それにしても、この映画は女性はどいつもこいつもロクなキャラクターじゃなかったが(サミュエルの嫁にしても不必要にかたくなだし)、なんといっても最悪なのはシドニーポラック嫁だ。ああやって、人間関係的に危険なシチュエーションでその危機をまったく存在していないかのように振舞う人ってのは世の中にたくさんいてリアルなんだが、おじさん頭に来ちゃったよ。
しかし、メリケンの銀行では不正アクセスがあっても、そのコストを全部客に転化するのかね。そんなことしたら客は不正アクセスに直接対処することなんてできないんだから、ハッカー天国になりそうなもんだが、というか銀行が自作自演でハッキングすることだってできるじゃないか。いくらなんでも無理な脚本じゃないかしらと思わんでもない。
御裁断は(最高☆5つ)
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