モンスターズ・インク
2、3歳の子供を映画で使うのは、いかにも難しそうである。赤ん坊と違ってそれなりの人格ができつつあるので、劇中で全く何も動きを見せないというわけにはいかないし、かといって現実にいるこれくらいの年ごろの子供が演技をしてくれるかというと、そうではない。下手したら、動物よりも扱いが難しいんじゃないか?
というわけで、この映画を観て最初に思った感想は、「そういやあ、このくらいの年ごろの子供がリアルに描かれているのって初めて見た」ってのです。CGなら扱いが楽だわなあ。この、一時も止っていなくって、突然泣きだしたかと思うと唐突に笑いだす、しゃべれないくせにこっちの言うことは結構わかっている生き物が非常によく描けている。子供ができたら、DVDを買ってみせるべし、とうっかり思ってしまう。
ピクサーの映画はドリームワークスと比べてストーリーの質が格段に高く(ドリームワークスのお話は変なひねりがあって、見ててすっきりしない。ディズニーを意識しすぎではないのか?)、語り口についても一回りも二回りもできがよいのだが(さすがスティーブジョブズの会社、ということにしておく)、今作はそんなピクサーの映画の中でも群を抜いて出来がいい。モンスターの世界がどのように運営されているかを描く手際のよさなど、もう感動的である。オチも適当にひねってあるし。もちろんディズニーだから単純な悪役が出てきて勧善懲悪のハッピーエンドになるのだが、アニメなんだからそれでいい。もっと複雑な事象を描きたければ他の手法があるわな。
それから、CG技術も何気なく向上している。キャラクターの感情表現はほぼ完ぺき。見ている途中から、モンスターが主人公である事を忘れてしまう。ラストのショットをあのように控えめに処理した事も好感が持てる。
ところで、例によってラストクレジットに平行してNG集があるのだが、それが流れているうちから帰りだす客がいたことに大変に驚く。目の前で重要な事が行われているじゃないか。エンドタイトルが出たら劇場を出るという行動パターンが染みついていて変えられないのだろうか?映画を観る行為さえルーチン化しているということか?一体何を考えているのだろう?
御裁断は(最高☆5つ)
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