パニック・ルーム
普通によくできたサスペンスドラマ。フォレスト・ウィテカーをはじめとする盗みに入った側とジョディフォスター親子側の思惑のすれ違いや、力関係の微妙な変化など、うまく描けていて退屈しない。別れた夫や警官に至るまで、劇中の役割に矛盾無い一貫した行動をとっていて、小気味よい。これまでのフィンチャーの才気煥発を期待する向きには不満もあろうが、これはこれでいいんじゃないの?
それにしても、ジョディフォスターは相変わらず強い。ジョディフォスターとフォレストウィテカーの対峙なら、一瞬でその結末が予想できてしまう。実際、覆面の男が指を潰されてパワーを失ってからはサスペンスが急激に低下してしまっている。ひょっとしたら、これは作り手の意図とは異なっているのかもしれない。でも、見ている側にしてみれば、ある程度の予定調和性があったほうが、落ち着いていられるからよいのだ。
別れた夫の行動やら、ラストショットやらを見ていると、この作品は基層に「善」が置かれているようである。そこのところがフィンチャーらしさとそぐわないような気もするが、でもフィンチャーは「ゲーム」を作った事もある人である。案外、そういう側面も持ち合わせているのかもしれない
しかし、どこにでも書かれている事だが、オープニングタイトルは素晴らしい。この映画を観るときには、上映時刻に遅れるべきではなかろう。
御裁断は(最高☆5つ)
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