スパイダーマン
まあ、私はこれまでもアンツやバグズライフを見に行っているわけで、ここのところクモの研究にいそしんでいる私としては、見に行かないわけに行かない(クモの研究であんなに立派な設備が出来たらいいだろうなあ。うらやましいよ)。というか、評判通りの良い映画なので、そういう背景が無くても見に行っていた事であろう。
アクションシーンの過剰な演出からくる高揚感は昔のサムライミが蘇ったもので、その上に、ここ数年のサムライミの習作シリーズによる人物描写が実を結んだ。痛快ヒーロー物であり、なおかつ主人公の成長物語でもある。
トビーマグワイア侮るべからずである。おおかたの不安を打ち消して大活躍。ウィレムデフォーもシャドウ・オブ・ヴァンパイアでも演じた二重性キャラをもっと展開していて、見ごたえアリ。キルスティン・ダンストはどうみても安キャバレーで身を持ち崩した年増にしか見えんのだが、6歳の頃に隣に越して来られたら、確かにクラッと来てしまわんでもないかもしれん。
昔から思っているのだが、クモという生き物は糸を使ってゆっくりと空を飛んでいるようなものなのである。この映画でもトビー君は雄叫びをあげながら糸を使って摩天楼を飛び回っていて(かなりスピード感があるのが本当のクモと違うところだが)、こりゃ確かにスパイダーマンだわい、である。ターザンだとも言えるが。しかし、こんな風に移動してるって事は、スパイダーマンは田舎じゃああんまり活躍できなさそうだ。
ところでエンドタイトルの音の使い方で、サムライミがテレビ世代の監督であり、本人もそのことに自覚的である事を確認した。このテレビ世代性はジョーダンテなどのようなものよりも、もう少し一般的なような気がする。ジョーダンテなどは、テレビで観たあの作品群オタクであるのに対して、サムライミの場合は、あらゆる事の理解にテレビの影響が見て取れる。
御裁断は(最高☆5つ)
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