ロード・オブ・ザ・リング
うおー、手に汗握った。弓がひゅんひゅん飛び交う戦いはいいねえ。放物線は美しいよ。あっしは、職人的に戦うクールな弓撃ちが一番のお気に入りだ。
確かに、これも原作の物語をなぞることに制約を受けている側面はある。原作を知らないものには、このプロットがなぜ必要なんだ?と思うことはあるし、唐突に音楽が大きくなると感じるときががあるのも否定できない。ガンダルフがあんまり活躍しないのも気になるし、あげく、ホビットの脳天気のせいで危機に陥るかのような描写はどうかと思う。しかし、ピータージャクソンとクリスコロンバスには大きな違いがある。それは、圧倒的な絵づくりである。変な言い方かもしれんが、その絵にはイマジネーションに(あとニュージーランドの素晴らしい風景に)基づく深みが与えられている。この絵を見せられて、燃えることができない人は、一生映画館に来なくてよろしい。
しかし、この映画は怖い。年端も行かぬ子供に見せるのはためらわれるほどだ。特にイアンホルムとケイトブランシェットが指輪の力のために一瞬邪悪な顔を見せるときなんて、悪夢に出てくること間違いなし。オークやトロールたちも禍々しさいっぱいである。さすがはピータージャクソン。ダークサイドを描かせたら抜群。思えば、この監督はずっと寒々とした映画を描いてきたことだ。
しかし、三部作だということははじめから重々承知だが、それにしてもこのラストは見るものに欲求不満をかき立てる。早く次を見せろ!一年も待ってられるか!!三カ月毎に公開しろ!!!いや、別劇場で良いから三本同時に公開してくれ頼むから。原作を読むという誘惑に後二年間耐えられるだろうか。ホビットに課せられたものに勝るとも劣らぬ試練だ。
それにしても、あのアマちゃん子供だましファンタジー映画は、ロード・オブ・ザ・リングの前に公開しておいて良かったねえ。後からだと、到底鑑賞に耐えなかったよ(いや、前に見てても耐えられなかったんだった)
御裁断は(最高☆5つ)
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