アザーズ
第2次大戦後のイギリスの古いお館。ニコールキッドマンと光アレルギーの二人の子供は、いつもカーテンを下げた部屋の中で暮らしている。その暗闇の中には、何かが?!
とまあ、いかにもお化けが出ますよ出ますよーって売っているが、あまり怖くはないので、この手の映画が苦手な向きも安心して良かろう。この怖くなさって言うのは、決して演出が下手だったり脚本がタコだったりするわけではなく、テーマがテーマだけに意図したものなのだと推察される。
ヒッチコックやキューブリックに影響を受けているとのことだが、私が見るにこの映画は、それらの監督の作品とは全く違う。ヒッチコックは、もっと登場人物にコミットして作品を作り、観客と主人公を同化させた上でサスペンスを作る監督だし、キューブリックの主人公は通常完全に狂っていて不安や恐怖を感じたりしない。観客は、そのような感情移入を完全に拒絶する主人公を目の当たりにする事で不安な気持ちに陥るのである。確かに、アメナーバルは上手で、この作品もお話としては破綻無いし演出もちゃんとコントロールされたものなのだが、キャラクター作りが中途半端なのだ。ニコールキッドマン演じる主人公は、感情移入は出来ないのだが、一方で不安に陥ってキーキー喚き続ける(20ニコールくらい)。私のような観客はおいてけぼりを食うのである。最近の非ハリウッド系の監督と言う意味で考えてもシャマランには一段及ばないように思える。
まあ、しかし、この評価は「パール・ハーバー」がもてはやされる昨今の状況を考えると厳しすぎるだろう。今後ももっと精進して、もう少し感情を揺り動かすことのできる映画を作ってくれたまえ。
それから、この作品は音響のよい劇場で観る事をお勧めする。天井を走る向こうの世界の者共を体験するには、必須である。
御裁断は(最高☆5つ)
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