トリプルX
この作品、巷間非常に評判がいいのだが、どこがよいのかというと、007の現代風再解釈にあるという。タキシード着てドライマティーニを飲むのではなく、刺青をしてアンダーグラウンドの世界に住む野郎が世界を救うところが新しいのだ、と。現代の観客の共感を生むのだ、と。
とすると、私はもう観客としては時代遅れになっているということなのだなあ。困ったことに、ちーとも共感しなかった。どうもヴィン・ディーゼルのたれ目顔からは緊迫した雰囲気を読み取れなく、「なんだそれならボンドと同じで余裕綽々じゃんよ」って感じてしまったのですね。皮だけ被せ変えただけに見えたと言うか、違いというより類似点のほうが目に付いたのです。いや、秘密兵器が出てきたり、寝返るボンドガールが出てきたり、秘密基地での攻防戦があったりとかの筋立て上の骨格を引き写すのは全然かまわないと思うんだけど、キャラクターの感情部分までボンドと一緒にすることはあるまいに。わしみたいな老いぼれの観客には、行儀の悪いボンドにしか見えんかった。行儀の良し悪しがボンド映画の本質ではあるまい?
アクションスペクタクル映画としては、いや、ボンド映画としては、まったく不満のない仕上がりなんだけど(エクストリームスノーボードのシーンはちょっと引っ張りすぎのような気もしないでないが)、いかんせん期待が大きすぎた。東宝東和の配給だって言うことで割り引いて考えるべきだったかな。
しかし、やっぱり楽園はボラボラだよなあ。
御裁断は(最高☆5つ)
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