28日後...
ダニー・ボイルのゾンビ映画というふれこみ。映像のエッジの効き方や音楽の使い方はダニー・ボイルっぽい。一方、ゾンビ映画なのかというとそうではない。ゾンビ映画には常に「押し潰される」恐怖があるのに対して、この作品にあるのは「孤独」の恐怖。ゾンビ映画では定番の、人がゾンビの群に飲み込まれて手だけが突き出されたまま食われてしまう、と言うシーンが本作にはない。ゾンビの恐怖は外側にあるのに対して、この作品の恐怖は内側にあるとも言える。この味わいは、ゾンビ映画とは似て非なるものだ。
主人公達はゾンビの海の中活路を開くわけではない。代わりに誰もいないイギリスを旅し、少しの放蕩と美しい郊外でピクニックを味わう。そして行き着いた先で彼らが対決するのはゾンビではなく、人。「ザ・ビーチ」の変奏曲のようだ。あと、本編が終わった後にもう一つのエンディングが流されるのだが、ゾンビ映画としてはこちらの方がより正統的だろう(最後に主人公がガバッと来れば言うこと無し)。
登場人物達の行動(例えばトンネルに入っていくところ)が奇妙に思えるのは、この作品をゾンビ映画だと思うからであって、これは孤独を叫ぶ青年の話であるのだから、にぎわいを求めていろいろな振る舞いをするのも理解できるとこじつけることもできよう。
御裁断は(最高☆5つ)
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