HERO
大変にもったいないのである。リー・リンチェイ、ドニー・イェン、マギー・チャン、チャン・ツィイーとアクションの出来る俳優を4人も揃えておいて、ちっとも手に汗握らん。この面子でアクション活劇をとらないなんんてどうかしている。チャン・イーモウめ、ぞろっとした衣装を着せて優雅にくるくる回しておけば、何も知らない毛唐が、「オウ、ワンダフール」とかいってもてはやしてくれるのを狙ったに違いない。ドラマがやりたかったのなら、それなりの俳優陣ってのがあろうものを。
シーン毎に衣装から何から色を全部変えるっていう趣向もこうなってくるとあざといだけである。それにそもそもこの映画、一つの物語りを三回別語りでやるという「羅生門」仕立である必要がよくわからん。こうすることで、本来のテーマであるところの「個人的な感情よりも全体の秩序維持の方が大義であり、個人は大義に準じることで英雄となる」がぼやけてしまったのではなかろうか。本来そこには大きな葛藤があって、その葛藤を乗り越えるからこその英雄であろうに。
御裁断は(最高☆5つ)
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