呪怨 / 呪怨
いや、傑作だった。日本の恐怖映画がここまでの水準に達するとは正直予想していなかった。この作品は一言で言えば呪いのグランドホテルであって、観客のエモーショナルな部分をつかまなくては成立しえない恐怖映画において、直線的・主観的構成ではなく平面的構成をっている点がユニークである。そして、そのユニークさとホラーとしての娯楽性が両立しているのが素晴らしい(惜しむらくはギャグつるべ打ちに見えてしまう予告編である。あれを見ていなければ肝心なシーンで吹き出す事も無かったろうにと返す返すも残念だ)。緻密な構成、意表を突く展開、そしてある意味調和の取れた結末。どこをとってもキズ一つ無い。これを見ると映画版のリングなどとても陳腐な作品に思える(強引に解釈すると、今作はリングの再解釈だといえない事もないが)。恐怖映画嫌いに勧める事ができないのがとても残念。
しかし、これも黒沢清(今作では監修もやっている)や中田秀夫たちの蓄積のおかげといえよう。これらのおかげで日本では恐怖映画ならある程度のヒットが見込める状況ができたわけで、優秀な作家に自由に映画を作らせるという冒険が可能になったわけだ。ジャンルの繁栄というのはこのようにして生じることだ。
女優さん達も目を引きつけられる魅力的な人たちばかりで、そういう意味でも娯楽性アリである。娯楽性といっても男性向けだが、そもそも女性の多くはこの作品は苦手とするところだろうから、まあかまわないだろう。あたしゃ、いづみ役の上原美佐にクラクラ。このシークエンスで、父と娘の愛情が事態を打開するなんてハリウッド的アマアマなオチを一瞬でも想像した私はダメ子ちゃんである。これからは心を入れ替えて映画鑑賞に臨まなければ置いていかれてしまいそうだ。肝に銘じよう。
ところで、メイク協力DHC?メイク協力DHC?メイク協力DHC???つまりそれってあの白塗りが。。。?
御裁断は(最高☆5つ)
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