呪怨2
一作目を見たあとで二作目が制作途中であると聞いて、「この映画の構造から考えたら、二作目って言ったって一作目と違う風には作れまい?」と思ったものだが、実際一作目と同じだった。とはいえ、これは焼き直しってのはちょっと違う。むしろ変奏曲といったほうがよさそうだ。つまり、最初から作り手は納得ずくで二作目にかかったのだろう。
私が一作目のどこに感じ入ったかと言うと、恐怖映画において観客が感情移入すべき対象(つまり全編通じて登場し悪と対決し勝利する主人公)を設定する事を拒絶し、一見ばらばらに見えるエピソードを淡々と繋いで行きながら、でも見るものを心胆寒からしめさせた事にある。そのための仕掛けであるエピソードの時系列入れ替えは今回も同じように行なわれている。しかし、一作目ではいろんな登場人物が芋づる式にあの家に関わって行ったのに対して、今回はたった一度のイベントでほとんどの登場人物が家と関わる事になる。そのため今回の伽椰子はクリスタルレイクに集まった若者を皆殺しにしたようなもので、怨みの連鎖のわけのわからなさに見終わってゾゾっとした前作のような怖さはあまりない。一作目と比べるとエピソードの拡がりにやや欠けると言えようか。
あまり怖くなかった理由には、伽椰子と俊雄のルックスに慣れたせいもあるのだろうけれど、それだけじゃなくトンガッタ部分が薄れた事もあるのかもしれない。前作では「親子の愛もへったくれもあるかい」だったのに、今作では母の幽霊が娘を助けるわ、のりピーはミニ伽椰子を抱きしめるわ。折角前作は私のハリウッド的アマアマ映画センスを打ち砕いてくれたと言うのに、これでは退行しているんじゃないか?
しかしなんでもいいが、これじゃあ「リング」のぱくりって言われても仕方がないんじゃないかしら。あと、のりピーより奥菜恵の方が演技うまいのね。
御裁断は(最高☆5つ)
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