マイノリティ・レポート
タイトルに偽りありじゃないだろうか、このお話。
予告編を見ている限りだと、トム君が追われる殺人事件に少数報告が関係していて、その謎を解く中で少数報告絡みの過去の事件・陰謀が明らかになっていく物だと思っていたが、このどちらとも少数報告は関係なく、それだけではなく、どのプロットとも関連がなかったのだ。まあ、短編の脚色だからいいといえばいいのだけど
予言された殺人犯を犯行前に逮捕する、という設定はある種のタイムパラドックスを産みだすのであることだ。今回の場合、あの予言が無ければトム君はあの場所に行かなかったろうということで、予言は本当の意味でのタイムトラベルではないにしろ、情報を過去に送っているといえることだなあ。
この映画、スピルバーグの作品にしては、冗長である。タイトなSFサスペンスになりうる素材に、どういうわけだか息子をなくした父の気持ちというサブプロットが混じり込んで、散漫な印象になってしまった。ピーター・ストウメアーのシークエンスなどまったくもって不必要であることだ。トム君的には大物になりすぎてしまって、今更SFの小品には出られないってところか。ジェスチャーで操作するディスプレイや個人特定型広告などガジェットには面白いところが一杯あったというのに、もったいない。
御裁断は(最高☆5つ)
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