いや、私のiMacのデスクトップは引退した後藤理沙に代わって今や長澤まさみである。NHK朝の連ドラ「さくら」の時からずっと気にはなっていたが、この「ロボコン」でもう吹っ切れた。これからしばらくは長澤まさみで行く(どこへ?)
映画的には、長澤まさみのような美少女をもってきたことで8割方成功したようなものだ。だって一瞬たりとも目が離せない。だが、お話的には、長澤まさみがいなくたって十分感動的だ。なんといったって理系の青春の話なのだ。しかもロボコン。あれは、それだけで十分面白い。見ていて熱くならないはずがない(どうでもいいが、私の勤務校は実は大学ロボコンでけっこう強いのである)。振動推進なんて感動。
理系の青春だから、男三人しかいないグズグズのロボット部に飛びきりの美少女が入ってきたって、ちらりとも色気はでてこない(そういう意味で最後に先生達が深い仲である事を示したシーンは不必要。なんか汚された感じ)。なんといっても深夜の作業の途中で夜食のラーメンを食べるシーンがこの映画のクライマックスだ。何かをみんなで作っているとどうしても作業は夜遅くに食い込む。世界はそういう風に出来ている。で、夜遅くまで作業をしていたらお腹が空く。そんなときの夜食は、人生で一番のご馳走だ。ラーメンなら最高。
しかし思えば、そういうのは理系に限った話じゃない。文化祭の前日だってあんな感じだし、私なんてついこないだだって二人でこなした学会でのプレゼンテーションの前に同じような感覚を味わった。要は誰かと一緒に、ヒトトキの舞台の準備をする事。この映画はその喜びを描いていて普遍的だ。
そうして舞台で成功したときの喜びは格別だし、成功しなかったとしても、作ったものの完成度に満足がいっていればそれでよい。この映画はそのあたりのこともちゃんと描いている。
しかし、この映画は地味だ。テンポはゆっくりだしドラマチックな事はほとんど起こらない。ロボコンのシーンだって、カットをあまり割らず比較的引いたショットが多い。なんでも実際に長澤まさみたんがロボットを操縦士ながらの撮影だったからだそうだが、おかげで地味ながらも本当の緊張感に溢れたシーンで、私的には満足。あと、ロボット製作に息詰まったときに合宿に行くのだが、そこで顧問の先生がしばらくロボット製作を禁じて宿の手伝いばかりさせるというシークエンスがある。そこもよいお話だと思う。その合宿に行く途中で長澤まさみたんが車の荷台の上で気持ちよさそうに歌を歌うシーン。あれって若さの喜びが満ちあふれているなあ。あそこだけでも4つ星半の価値がある。
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