戦場のピアニスト
ロマンポランスキー作品の登場人物は決定的に無力であって、状況に翻弄され右往左往するばかりである。実話物の本作もきっちりそのフォーマットにのっている。
ワルシャワのユダヤ人ピアニストがドイツ侵攻からソ連による解放に至るまでどのように生き延びたかを描く話。どのようにといっても、数多くの偶然のなせるわざとしか言いようが無いのだが、これが現実と言うものなのだろう。特段何かを指弾するわけでも無く、淡々とドラマが進行する二時間半である。
それにしても、50万人もいたユダヤ人がほとんど抵抗らしい抵抗も示さずに皆殺しにされたわけである。よくぞそんなことが可能であったものだと思うが、これはメディアが未発達で情報のコントロールが現代よりずっと容易だった時代だったからこそ起こった事なのだろうか。それとも、今の世の中でも意志を持って事に当たれば、事態は再現されてしまうのだろうか。
御裁断は(最高☆5つ)
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