ビッグ・フィッシュ
昔、といっても一昨年の事だが「スズメバチ」という映画があって、ヨメサンが「どんな映画?」と聞くもんだから「18000発食らう話」って答えたのだけど、本当は宣伝コピーに12000発とあるという。ヨメサンはそんな私の言う事を最近はあまり真面目に受け取ってくれなくなりつつあるのだけど、人に話しするときってのは5割増しくらいでちょうどいいんだよね。
そんなわけだから、私はほら吹きオヤジの側に100%立ってこの映画を見ていたのである。どうでもいいが私もしばらく前に人の子の親になった。親になる事の利点は、これまで子供の立場からしか見る事が出来なかった親子の物語を親の立場から眺められるようになることで、つまりは一粒で二度おいしいってこと。この映画にあるように、どうせなら話は面白い方がいいって価値観に同意してくれる人なら、子供を持つ事のメリットは大きいですぞ。
いや、ティム・バートンも最近ヘレナ・ボナム=カーターとの間に子供が出来たようで、これまで子供の立場からしか映画を作ってこなかった人が親の立場から映画を作ったのであるなあと。だから、街の人気者で誰からも愛されて素晴らしいヨメサンをもらったアルバート・フィニーをこれまでのバートンのキャラクターと大きく異なるとみなすのはちょっと違うような気がする。むしろ、親というものの心性を鑑みれば、息子に理解されないということだけで立派にこれまでのバートンキャラの延長線上にあるとみなしたほうがいいのじゃないかと思ったりする。もちろんお話のオチのつけ方は以前と比べるとずっとポジティブになっているとは思う。
で、そのオチは素晴らしいの一言。特にシャム双生児が二つに別れるところは転倒した現実崩壊感を味わえたし、スティーブ・ブシェミが何かわからないが熱っぽく語っているシーンは、ともすれば見失いがちになる生きていく事の意味を思い出させてくれて勇気づけられる。
御裁断は(最高☆5つ)
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