エレファント
コロンバイン高校銃乱射事件を題材に、その日に撃たれる者の日常と撃つ者とを描いた作品。この映画では、被写界深度の浅さと引きのないカメラアングル、スタンダードサイズの画面ゆえに、描写範囲が登場人物の周囲の極めて狭い空間に限定される。そしてこのような登場人物の認知世界の狭さゆえに、事件が起るまでの日常を描くパートでは、一つの場面を複数の登場人物の側から描く事になるのである。しかし(撃つ者も撃たれる者も)高校生には物事がそのように多面的である事は理解されない。観客はどうか?
それにしてもいつも思うが、高校という、ひねくれた見方をすれば精神的に不安定な時期の人間集団を社会から隔離しておくための場所で暮らすなんてできれば避けて通りたいところだ。そんな場所で人が暇を持て余せば地獄が現出する可能性は高い。
御裁断は(最高☆5つ)
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