殺人の追憶
田舎町で実際に起った連続殺人事件を捜査する刑事の人間模様を描くドラマで、現実でもいまだ未解決という事で地味な物語にならざるを得ないにも関わらず、上映中はドラマから目が離せず見終わった後いつまでも複雑な気持ちが心に残る。決して明るい話ではないが、途中何度もかくし味の小さなユーモアを混ぜる事で、娯楽性という点でも十分である。韓国で興行収入一位になったそうだが、彼の国の観客層の水準の高さが伺われる。そんな目利きの観客を持つ韓国映画界が良い作品を連打してくるのはむべなるかなだ。
それにしても、ソン・ガンホ演じる地元の刑事は証拠捏造もやるわヤバイ薬も打つわ拷問もするわでハリウッド的に言えば悪徳警官になってしまうのだが、この映画では東アジア的諦観というか、オレタチャ米作って食ってるのが大事であとは瑣末なんだ、っていうか、とにかくそれはそういうものであって良いとか悪いとかとは関係なく描かれていて面白い。一方ソウルから来た理性派刑事が次第にソン・ガンホ的になっていくところは良くある展開だといえるけれど、そこをバンドエイド一枚で上手に繋いでいて心を打たれる。あと、焼肉屋の息子は、今作の陰の主役だと思う。
どうでもいいが、「JSA」でも大の男が子供のように遊んでいたが、今回も刑事二人が暇つぶしにあや取りをしていて不思議だった。韓国の大人の男はみんなあんな風なのか?それから、韓国の人はみんな跳び蹴りするのかしら?
御裁断は(最高☆5つ)
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