エターナル・サンシャイン
子供のころ朝起きたときに、どうして自分が寝ている間に他と取り換えられていないと言えるのだろう、と考えて怖くなったことがある。もちろんすぐに「昨日のことをちゃんと覚えているから、ボクは今日もボクに違いない」と気がついて落ち着いたのだが、つまりは記憶と言うのは人を人足らしめるものであるという。
しかしながら、普通に生きていれば忘れてしまいたい記憶と言うものはできてくるもので、それができれば何て幸せなんだろうという発想が、すなわち「無垢なココロに宿る永遠の太陽」。で、この映画は本当にそうなの?という話。ケンカ別れした恋人の片方が自分の記憶を消した腹いせに、自分も記憶を消そうとするもののその途中でやっぱりやめたくなって、、というプロット。
まあ、しかし、別の見方をすれば、この作品は痴話げんかが収まるまでのプロセスを大仕掛けに描いたものとも言える。痴話げんかから仲直りというのは、多くの人が経験する事だと思うが、最初は「ちきしょう、もうあんな奴の顔なんて見たくもないや」とか思いながらだんだんに「あー、でもあんなこともこんなこともあったし、やっぱりこれからずっといなくなられるのも困るなあ」と思い仲直りするわけだけど、この映画の素晴らしいところは、そんな誰でも知っているプロセスを、たった一つのアイデアに依拠して全く奇想天外な話のように見せかけることで観客を引っ張るところである。見ている方は話の面白さに引き込まれながら、知らないうちにおなじみのメッセージに共感するという仕掛け。
ケイト・ウィンスレットとキルスティン・ダンストがとても魅力的。ジム・キャリーもやっと普通の役者になれてよかったね。
御裁断は(最高☆5つ)
最近見た映画へ
一覧へ