ノロイ
自宅が全焼した後行方が知れなくなった怪奇作家が、その直前まで追っていた「かぐたば」という悪霊のノロイについてまとめたビデオ作品を公開したという触れ込みの作品。まあ、聞いてわかる通りのフェイクドキュメンタリーである。ブレアウィッチ・プロジェクトのように実在するという設定の怪奇作家のホームページを作ったりしている。
ブレアウィッチのようなワンアイデアものではなく、緻密に構成されたストーリーが骨格にあり、フェイクドキュメンタリーの形式を取らなくても面白い作品になっただろうなあと思われる。というかむしろ、ドキュメンタリーの形式をとったがゆえにテンポが悪く、手ぶれカット続出で劇場の最後列で見ていても酔って気持ちが悪くなり、時々目をつぶらなくてはならなかった。これって形式が足を引っ張ってるんじゃ?実はあんまり怖くなかった。ひょっとしてこのお話を実話だと思う事が出来ていれば、もうちょっと評価は変わっていたかもしれないが。。
どうでもいいがこの作品では、リアリティーを補強するための手法として、テレビ番組のシーンを創作して途中に挿入している。しかしながら、私のような人間はテレビに映っているものは真実でないと思いがちで、つまり逆効果なのである。
昔の書物には、人に悪霊が取りついて悪さをする話がよくあるわけだが、今の世の中でもエキセントリックな人が、その独自のロジックに基づきトラブルを引き起こすというケースはしばしばあるわけで、これを昔の人が見れば、やはり悪霊のせいだというだろう。そう思えば、この作品の恐怖は基本的に隣に住むどこか変な人への恐怖と同じであり、貞子や伽椰子が怨みという日本の伝統的な恐怖の形式に基づいていたのとは異なり、実は都会的現代的な恐怖を描いていたのである。
どうでもいいが、世情に疎い私は、松本まりかも実在を装った創作キャラだと思っていた。ちょっとかわいいね。さすがに荒俣宏とか飯島愛は本物だとわかった。
御裁断は(最高☆5つ)
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