スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐
思えば28年間である。最初のスター・ウォーズを見たのはまだ小学生で、親に連れていってもらった三本目の洋画であった(ちなみに一本目はキングコングで二本目は未知との遭遇)。帝国の逆襲の時もまだ中学生になったばかりで、祖父に連れていってもらった事を思い出す。ジェダイの復讐で、はじめて先行オールナイトを経験し、エピソード1の時は大学院のメンバー10人ほどで大挙して見に行ったものだ。で、エピソード2で、私はついにスター・ウォーズに対する情熱に衰えを感じ始め、今作は何か葬式にでも出るような気持ちで、先々行公開の日に臨んだわけだ。
それがフタを開けて見れば、想像以上に出来が良い。このシリーズの各作品において、クライマックスは基本的には軍隊同士がぶつかりあうスペクタクルなのであるが、そのパターンに当てはまらない帝国の逆襲こそがシリーズの最高傑作と言われている。で、今作の場合、クライマックスはオビ=ワンとアナキンの対決であって、代わりにオープニングに大宇宙戦のシーンが来ている。そのせいなのかどうか知らないが、本作は出来が良い。とにかく全編に満ちあふれる見せ場は、ウーキーのシーン以外はお話と密接に絡み合っているし、パルパティンがアナキンを誘惑するところなどゾクゾクする名演だし、ユアン・マクレガーの悲痛に歪む顔は天下一品だし、ところどころセリフに気恥ずかしくなるところがあるのと(産まれたとたんに「ルーク」「レイア」はないだろうよ)、アナキンの暗黒面への転び方がちょっとあっさりしすぎているところを除けば、十分鑑賞に耐えうるクオリティーである。
しかし話自体は陰鬱で、ダース・ヴェーダーの誕生を描くわけだから当然だとしても、パルパティンの権力の握り方とか(この展開は以前から計画されていたものだから、現在のアメリカの政治状況に対する意見表明の側面があると言うのはうがち過ぎだと思うが)、メイス・ウィドウやオビ=ワンがシスを無力化したときの態度に現れる正邪の境界の曖昧さとか、どう考えても無邪気に内容を楽しめる作品ではない。どうでもいいが、エンディングにはいつもの気分が高揚する「スター・ウォーズのテーマ」が流れてきて、お話の暗さとミスマッチでどうにも落ち着かないのだが、ここをとっても28年間で随分遠くまで来てしまったという感じを受ける。
それはともかく、それでも最後にタトゥイーンの二つの太陽を見ると、これからまだあんな事やこんな事やそんな事が起こっていくんだなあと思って、感じ入ってしまう。多分そんな風に思う人は日本に1000万人はいるに違いない
御裁断は(最高☆5つ)
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