ボーン・スプレマシー
アクションサスペンスの傑作「ボーン・アイデンティティ」の続編。最初この作品のことを聞いた時は、わずか二年で前作のキャストを全て揃えた続編ができるほど大ヒットしたかしら?といぶかしんだのだが、良く考えたら原作が三部作なのであった。読んでない私が言うのもなんだが、一作目の原作「暗殺者」は名作の誉れ高いのに対し、今作の原作「殺戮のオデッセイ」はあまりよい評判を聞かない。というか駄作らしい。私は他のラドラム作品はいくつか読んでいるのだが、確かに後期の作品はプロットがグダグダで、決して良い出来ではなかった事を覚えている。
で、映画の方はどうかというと、こちらは一作目と遜色ない面白さであった。視界が限定されローカルな情報のみからベストな行動を取ろうとする登場人物達の相互作用が駆動するダイナミックなストーリーは引き込まれること請け合いだし、虚飾やこけおどしを排した演出(カット割が細かすぎるのが難点と言えば難点だが)はクールで、プロ同士の死力を尽くした戦いにマッチしている。前作のラストからすると衝撃の展開が前半に待っているわけだが、ここで、大げさな感情表現をするのでなく、たった一枚写真を焼かずに残すという、ストイックの塊のような表現に止めているのが、このシリーズの魅力なのである(単にココロが空っぽの設定だからかもしれないが)。そして世界中を点々とする舞台は単純に目を楽しませてくれる。前作を気に入った人には文句無くオススメできる。というより前作を見ていない人には何がなんやらチンプンカンプンかもしれない。折角だから予習を勧める
ところで、原作は三部作で、今作のラストも続編をにおわせるものであった。これは見る側としても、ちゃんと原作を読んで3作目に備えるのが礼儀と言うものかもしれない。
御裁断は(最高☆5つ)
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