アイランド
臓器移植のため作られ、それとは知らされず施設で暮らしているクローン人間の一人が、その生活に疑問を抱き事実を探り出そうと脱走する話。こう聞くと、こちらのSFゴコロが騒ぎ出すのを抑えられるはずも無いのだが、監督はマイケルベイ。やはりSFのエの字も期待してはならなかったのである。前半早々にネタを割ってしまい、後はひたすらどこかで見たアクションの連続になるので、SFの肝であるところの現実崩壊感はほとんど味わえない。ゲイリー・フレーダーの「クローン」の爪のアカを煎じて飲ませたい。でも、ゲイリー・シニーズの爪のだったりしたらちょっとイヤだな。
クローンである事から来るアイデンティティーの問題も一顧だにされない。折角の主演イアン・マグレガーなんだから悲痛モードにして自分について悩ませれば良いものを、実際には一貫して軽いノリである。そんな状況でそんなに能天気だなんて、お前には人の心が無いのか?というそういう話ではあるまい。スカーレット・ヨハンソンのぴっちりした衣装も、オジサンはちょっと注意力が散漫にさせられて、お話なんてどうでもよくなってきてしまう(でも、ちょっとうれしいというのは内緒だ)。
あと、この話は基本的に主観度の高いものだからして、クライマックスは本物はどっちだ?っていうところであるべきで、その後の体制崩壊の話にあんなに長い時間をかける必要は無いと思う。マスコミに訴えるシーンでもちょっと挿入してさらっと描けば一時間40分くらいに収められそうだ。
どうでもいいけど、私はもうてっきりピンチに陥ったスカーレット・ヨハンソンがカンフーで危機を脱するんだけど、その後こぶしとか脚とかを見て「人を殴るのが、こんなに痛いなんて知らなかったわ」とか言うんだと今か今かと楽しみにしてたのになあ。
御裁断は(最高☆5つ)
最近見た映画へ
一覧へ