ロング・エンゲージメント
ジュネがオドレイ・トトゥを使って撮ったと言うことで、2匹目のドジョウ狙いの宣伝になるのは理解できる。確かに、わけのわからないおまじないをやってみるなど「アメリ」と共通する要素は無いわけではないが(私にはこんな要素は不要だと思えたのだが、原作にあるのだろうか?)、実体としてはこの作品は戦争の悲劇を背景にした硬いミステリーである。ふんわかファンタジーとは随分趣が違う。
負傷除隊を偽装したと責められ、独軍と仏軍の塹壕の間に放り出されると言う刑を受けた5人の兵隊のうちの一人の恋人が、遺品として渡されたものを手がかりにして死んだことが信じられない恋人を探す話。目的の一人だけでなく、5人に起ったことと彼らの人間関係をも描くことで、戦争だけには巻き込まれたくないと思わせる。ミステリーの観点からすれば、特にドイツの長靴を履いた兵隊の描写が多すぎて話が迷走している感もあるが、戦争に影響される人の様子を描くのはこの映画の横糸だと考えれば、これはこんなものであろう。どうでもいいが、ここで出てくるジョディ・フォスター。最初は「こりゃまたえらくよく似た女優さんだなあ」と思い「いや、こんなに似ているはずはない。ひょっとして本人?」と。さらに「でもフランス語流ちょうに喋ってるやん。いや、ジョディ・フォスターは才媛だからこれくらいはお茶の子サイサイか?」とか思って、結局エンドロールを見るまで本人だと確信できなかったと言う。
これに限らず、わき役にはいろいろと魅力的なキャラクターが出ているのだが、私のイチ押しはセレスタン・プー。こういう、軍隊の論理など一顧だにしない現実的なキャラクターって映画にはよく出てくるけれど、現実の戦場にもいるのかしら。
原作物と言うことで、緻密に組まれたストーリーがキッチリと物語られていて、出来のよい作品だと思う。ただ、告白すると、最初の5人の紹介のところで、全員の情報を頭に収めきれなくて、しばらく混乱した。
御裁断は(最高☆5つ)
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