宇宙戦争
ある日何の前触れも無く宇宙人が攻めてきて、人間はただ虐殺されるのみ。そんな中、全体の状況がわからぬまま右往左往する主人公は父親として再生していく。そして、突然終わる宇宙人の進攻。とこう書くと、いかに「宇宙戦争」が「サイン」であるかがわかる。いや、「サイン」が「宇宙戦争」なのでした。
スピルバーグ監督作品ではあるものの、単純なスペクタクルでは全くなく、「スター・ウォーズ エピソード3」と並び立つ陰鬱な作品。いまや世界は恐怖に満ちているのだなあ。それでも「スター・ウォーズ」では問題の所在が明らかで、かつ将来には問題が解決する事がわかっているからまだましで、見かけ上ハッピーエンドでもひたすら無力感に支配される「宇宙戦争」の方がより暗い作品かもしれない。
世間では、オチのあっけなさを非難する声があると聞くが、H・G・ウェルズ原作のこの話を、あれ以外には落としようがないと思う。私は、トライポッドが人の血を肥料として巻き始めたところで、まさか今回のオチは血液に潜む例のウィルスのせいで宇宙人が全滅するてなものじゃなかろうなと考えたわけだが、そうでなくてよかったよ。しかし、オープニングとエンディングの古色蒼然たるナレーションは、パル版へのリスペクトかと思われるが、本編の凄惨なシーンを挟み込むものとしてはミスマッチだと思う。人間と微生物の関係を宇宙人と人間の関係をパラレルに描くと言うのは、昔ならばセンス・オブ・ワンダーだったかもしれないが、現代では少し手あかのついたもののように感じる。あとオチ直前のトム君一矢報いるのシーンもなくてもよいような気もしないでもないが、だとするとティム・ロビンスとの対決シーンがクライマックスになってしまって、テーマが「やっぱり人間が一番怖い」てなものにすり替わりかねないから仕方ないのだろうか。
それにしてもダコタ・ファニングだけは娘に持ちたくないものだ。あんなに感情的アピール力のある子供じゃ、お父さんも大変。
どうでもいいが大阪人最強伝説はスピルバーグ公認となりました。
御裁断は(最高☆5つ)
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