フライトプラン
突然子供が目の前から消えうせ、周りの誰もが子供の事を覚えていない、というシチュエーションだと、怪作「フォーガットン」を思い出すわけだが、開けてビックリ、ベクトルは異なるものの「フォーガットン」にも勝るとも劣らぬありえないストーリーだった。いや、ありえるものとして作っている今作の方がもっとありえないかも。
詳しく書くとネタバレになって、この映画をネタバレ状態で最後まで見通すのはかなり辛いと思われるのでなんともやりにくいのであるが、そこをごにょごにょと書くと、つまりこのキャラクターをこう行動させて、他のキャラクターがそれにこう反応するならば、確かにあんな設定に対する説明になりうるのだけど、そもそもあのキャラクターや他のキャラクターはそんな行動せんだろう、と、そういうありえなさ。いや、敵に銃で胸を打たれたら、たまたまそこに十字架があって助かったとか、そういう御都合主義とはなんかレベルが違うのですよ。こんな風にありえないお話って滅多に見ない。
で、普通、このような現実離れしたシチュエーションは、本当なのか?それともジョディの思い込みなのか?という興味で引っ張るものである。「フォーガットン」もそうなっていた(←参考にするのは間違っているとか言わないように)。しかるに今作ではそうではなく、延々と一方的な立場から現実ではないかのように描き続けるので、その中で一人、娘を帰せと闘い続けるジョディ・フォスターが、単なる気の触れた迷惑なオバサンにしか見えなくなるという。客観的な存在証明のない娘のために400人もの他の乗客の命を危険に晒すのはちょっと正当化できますまい?それからアラブ人を犯人だと決めつけて最後まで何のフォローも無いところとか、じゃあ向こうからアパートを覗いていたのは誰だったのか?とか、とにかく脚本の視野狭窄振りはすごいものがある。
そういう意味では珍品なのかもしれないけど、ジョディ・フォスターが出ている事からくる大作感が、この作品を珍品として見る事を妨げるのだなあ。何ともミスマッチ。とはいえ、考えてみればジョディ・フォスターって割と良く変な作品に出るよね。芯の強い=闘う=人のせいにする、キャラクターを演じる事さえ出来ればお話なんてどうでも良いと思ってるんでしょうか?
御裁断は(最高☆5つ)