キング・コング
言わずとしれた大猿の映画。ストーリーは説明するまでもないが、やはり霧に覆われた謎の島に上陸してみたら、真ん中に巨大な壁がそそり立っていて、その向こうに謎の巨大生物が跋扈しているらしい、というシチュエーションは強烈に男の子ゴコロをそそるものである。この時の何とも言えないゾワゾワ感に比べると、恐竜や巨大昆虫に襲わるシーンが実際に目の前に現われると逆に軽い失望を感じたりする。あんなにスペクタクルでなくても良いのにな。一匹だけ目の前に現われて、そして本当は背後にもっとたくさんいることを想像させてくれるだけで良いのに。贅沢な話だけどね。
それと同じ事かもしれないが、キングコングは表情など素晴らしいのだけど、あまりにもゴリラ然としていることで失われるものもあるような気がする。鳥の親類ではないティラノザウルスは、三頭出てきたのを除けば素晴らしい。
で、今作はオリジナルよりもコングとアンの恋愛の要素がより強く現われている。確かに、岩棚の上で芸をするナオミ・ワッツはチャーミングである。髑髏島に上陸するまでの長い長い前フリはそのための仕込みだと思えば納得がいく(本当は指輪の第三部がそうだったように、単に最適なところまで刈り込むための労力が不足していただけなのかも)。でも、そうだとすると最後、コングが落下した後のエイドリアン・ブロディの抱擁をナオミ・ワッツは拒絶するべきだったのかもしれない。
主演の二人を含めて、俳優陣はキャラの立った見ごたえのある人ばかりであったけれども、ジャック・ブラックだけは感心しなかった。この悲劇の全てを引き起こした張本人であるのに、それに見合うだけの貫録が無かったのが残念だ。特に、最後のキメぜりふの軽さは見ていて辛かった。もう少しこの人に演技の幅があれば良かったのに。
と、色々小さな不満点はあるのだけど、満腹感のある3時間だった事も事実。ピージャクも頑張ったね。
御裁断は(最高☆5つ)
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