ナイト・ウォッチ / NOCHNOI DOZOR
この世には人とは違う異種がいて、それが光の勢力と闇の勢力に分かれて過去から互いを監視しあっている。で、長い間均衡を保っていた二つの勢力だが、今その均衡を破る強大な力を持った存在が生まれ、二つの勢力の間に争奪戦が始まる
という触れ込みなのだけど、なぜか物語の焦点はずっと世界を破滅させうる渦の中心にいる女性の呪いを解く事に集まって、最後に思い出したように強大な力の帰趨が決まると言う。それって求心力の設定が間違っておるよ。いや、まあ、こんな風に語り口がイマイチなのは二昔ほど前の香港映画もそうだったわけで、私は別に致命的な欠陥だとは思わないが、最近の洗練された映画群に慣れている人だと、ひっかかるかもね。
それより今作はロシア映画である。ロシア映画と言うと私くらいの世代は一も二もなくアンドレイ=最後まで眠らずに見られた例が無い=タルコフスキーを思い出すのだが、その頃と比べると世界は何と小さくなった事か。今作はまるでハリウッド映画B級映画のようである。とはいえ、やはり作られたお国が違うとどこかしら映画の雰囲気も違ってくるもので、奮闘努力する主人公は一方で常に意識朦朧に近いという描かれ方はあんまり他の国の映画では記憶がない。ウォッカで二日酔い?
そんな少し違うセンスを持った娯楽映画として楽しめると思う。あと私が見た版は英語字幕も入っていたのだけど、こいつの処理がなかなかに素敵だった。ロシアの人は英語字幕を目にしていないのかな?
御裁断は(最高☆5つ)
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